相変わらず、キャラが多いな〜。

「春さん、空ちゃん、優香ちゃん」
 教室の外から春達を呼んだ少女は、鈴とはまた違う大和撫子の雰囲気を出していた。空くらいあるだろうかその髪は、腰の辺りで軽く結んでおり、全体的にふわふわした印象を与えられる。
「あ、椿ちゃん!」
 空が椿と呼んだその少女の本名は神宮寺椿。おしとやかなイメージとは裏腹に、数ある武道の中でもトップクラスの知名度と歴史を誇る『神宮寺流』の長の父親を持ち、次期神宮時流後継者として噂されている、春達の親友とも呼べる少女だった。そしてその横に居るのは……
「ハヤトも居るのかよ」
 凪ハヤト。春と同じ黒髪黒瞳をしており、髪は男の子らしくショート。整った顔立ちをしているが、それを相殺するほどナンパ癖が強い駄目人間だが、その正体は椿をも凌駕の超大物人物だったりするのだ。
 『凪財閥』。日用品から最新兵器まで取り扱うこの財閥の総資産は、全世界の三パーセントにまで及ぶと言われており、ハヤトはそこの御曹子なのだ。
「居ちゃ悪いのかよ。ま、気持ちは分かるぜ。なんせ俺は目立ち過ぎるからな」
 だがやはり、ナンパ癖とこの性格の所為でお金持ちだとして見られていないのが現状である。春は始めはそれを狙ってしているのだと思っていたが、これともかれこれ八年の付き合い。それが意図的なものではなく、ありのままの性格だという事に気付いたのは、ガーデンに入る少し前の頃であった。もしも気付くのがもう少し早かったら付き合いを切れたのに…と、春は自分の愚かさにつくづく後悔していた。