とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」
レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。
次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。
そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?||
...圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!
蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。

こ れ は ヤ バ イ !
一冊完結の小説収集が趣味な自分が、
タイトルと『空(まあ、厳密には“戦闘機”なんですが)』のテーマと
直球ド真ん中ストライクだったので、勢いで買ったこの作品ですが、
もう、速球160キロオーバーでしたよ、の大当たり。


ストーリーは、上記に書いてある通りの王道ものですが、故に面白い。
横断の途中の主人公とヒロインの会話のむずかゆさと、手に汗握る空戦は必見です。
敵の主戦力であろう、最新戦闘機『真電』の威圧感は冗談抜きでハンパじゃありません。
ラストは少し儚く、けれどもこれ以上ないってくらい綺麗に締めてくれました。


「長い間空を飛んでいると、だんだん、地上の価値観に興味が持てなくなるんだ。
  僕と同じことをいう飛行士は多いと思う」


評価:★★★★★