祝もものき事務所 (C・NOVELSファンタジア)
久しぶりに小説が読みたかったので、
ハートキャッチプリキュアショーを傍目に本屋で購入。


あらすじからしてミステリー小説かと思って期待してたけど、
蓋を開ければ旧家ドロドロの家庭事情を描いたハートフルボッコ小説でした。
旧家超恐い。ヤバイ恐いです。
ミステリーと旧家の家庭事情の描写の割合が、3:7ってどういうことなの。


あらすじ通りだったのは、主人公の性格。
「ヤル気なし、根性なし、能力なし」と紹介されており、
そう言いつつ最後の最後でバッチリ決めてくれるかと思いきや、
最後の最後まで何もしませんでした。
そういう設定のキャラなので仕方ないのですが、もう本当にダメダメ。
どれくらいダメダメかって言うと、幼馴染の弁護士(実質、こいつが主人公)と
美人秘書の方が出番も見せ場も多いくらいダメダメ。
ダメキャラ好きとしては、そこが堪らんのですが。
主人公自体「適当に歩いてたら、何故か事件の真相に関わる出来ごとに巻き込まれる」という
物語を進めるためのデウス・エクス・マキナみたいな存在なので、しょうがないですが、
事件解決の情報収集は美人秘書が、
最後の「犯人はお前だ」は弁護士がやっちゃうのはどうなんだろう。


でも、一番感情移入が出来るのは、出番のない主人公でした。
コレ、ミステリーではなく、旧家のドロドロを描いた作品なのですが、
メインキャラが一人もその旧家とは無関係の人物なため、
「他人事」感が物凄いんです。
で、出番の少ない主人公は、そういうドロドロの人間関係が大好き。
理由は「劇を見ているみたいだから」
主人公と読者である自分の視点が見事に一致してるんですよね。
だから、出番が少なくても感情移入が出来ました。
それ自体は凄いことなんですが、
やっぱり他人事感とミステリーじゃない感が凄く、長さもそこそこあるため、
「これは面白い!」とお薦め出来る作品ではありません。
ただ、ミステリーとしてではなく、そういう物だと思って読めば、
そこそこ楽しめる……んじゃないかなぁ?