その夜、私は「なか卯」の食券販売機の前にいた。
ツイッターのフォロアーのつぶやきで、うどんが無性に食べたくなっていたのだ。
早速、うどんの食券を買おうとする私。
しかしここで、店の表に立ててあった“のぼり”を私は思い出したのだ。
(そうだ…今日は牛丼が250円だ)
そこで私は考える。果たして、うどんだけで、この空腹を満たせるだろうか。
財布の中身と相談しつつ、いかばかりか考えた私は、欲求を優先した。
うどんと牛丼の食券を買うことにしたのだ。
しかし再び、私は迷う。
(さぬきうどん、肉うどん、坦々うどん……何を選べばいいのだろうか)
素直に欲求に従うのならば、一番値段の高い坦々うどんを選ぶべきだろう。
だが……
(…ここは、安いさぬきうどん……
 いや、そのさぬきうどんと同じ値段の肉うどんを頼もう)
私は理性を以って、欲求を克服したのだ。
そして、私は二枚の食券を持ち、席に着く。
あの葛藤で喉が渇いた私は、なか卯特有の、
“緑茶を限りなく水で薄めた飲み物”を口に含む。
しばらくすると、店員が私の注文した二品を運んできた。
そこで私は初めて自分の過ちに気が付いたのだ。


(しまった、肉が被った……!)