ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚 (角川ホラー文庫)

ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚 (角川ホラー文庫)

血と肉が踊る(比喩じゃない)スプラッター系SF小説。
「MM9にハマったんなら、こっちもオススメだよ」
と薦められたので読んでみましたが、
いやはや、凄まじい作品に出会ってしまいました。


この作品を物凄く簡潔に述べるのなら
「人類に全く友好的でないウルトラマンと宇宙怪獣が
 人類を巻き込み暴れ回る物語」でしょうか。
とにかく「これでもか!」というほどのグロ描写、
街は崩壊し、街に住む人間の殆どは(宇宙人の力)で化け物に変わる、
希望なんて一片たりともありゃしない、
そんな、巨人(宇宙人)同士の戦いを前に
成す術もなく翻弄される人間の無力感が書かれていました。


とはいえ、そういった描写は飽くまで副次的なもの。
この作品の根底にあるのは
「異星人と地球人の価値観の差異」なのかなぁと勝手に想像しています。
この価値観の差異が、全人類を巻き込むほどの悲劇へと繋がるわけですが
それでも最後には、主人公と、主人公に寄生した宇宙人との間に信頼関係が生まれるので、
そこに、わずかながらの救いと良心が……うん、ないな!